MicrosoftがApacheConで相互運用性の取り組みをアピール

 Microsoftでプラットフォーム戦略を担当するシニアディレクターのサム・ラムジー氏は、オープンソース分野の開発者とユーザーが集う 「ApacheCon」カンファレンスの基調講演で、オープンソースコミュニティーとの関係改善を進める同社が相互運用性に関連して行った新たな取り組み を説明した。

 講演の後でラムジー氏が書いたブログ記事によると、11月7日にニューオーリンズで開かれたApache Software Foundation主催のカンファレンスにおいて、同氏は「オープンソースコミュニティーへのMicrosoftの参加拡大と両者の成長、そして“参加 のためのアーキテクチャ構築”に向けた戦略」を語った。

 ラムジー氏によると、Microsoftの戦略は4つのテーマに照準を合わせているという。コミュニティー、貢献、パートナーシップ、そして選択 である。「ソフトウェア分野の次の10年間は、オープンソースとMicrosoftの両コミュニティーがともに成長する時期だとMicrosoftは考え ている」と同氏は付け加えた。

 ラムジー氏は、Microsoftが行った数多くの取り組みの一例として、同社が最近、Advanced Message Queuing Protocol(AMQP)のワーキンググループに参加したことを挙げた。同規格の開発に貢献し、市場での顧客の選択肢を拡大するのが同社の狙いだ。

 また、「コミュニティーのメンバーからのリクエストに応じて、われわれはApache Qpidプロジェクトの参加を約束した。Apache Qpidは、AMQP規格のオープンソースインプリメンテーションとして広範に普及しており、選択肢の拡大とメッセージングの相互運用性を求める顧客の ニーズに応えるものである」とラムジー氏は語る。

 「われわれの顧客は、Apache Qpidプロジェクトが拡張され、Windowsとの相互運用性が実現されることを望んでいる。このため、今後数カ月はWindowsベースのAMQPソ フトウェアの開発に向けたコミュニティーの取り組みを理解することに専念するつもりだ。このプロジェクトに参加することで、ほかの参加者から学ぶ機会が得 られるため、貴重な貢献ができる立場に立つことができる。しかしApache Qpidプロジェクトは、AMQP規格の多数のインプリメンテーションの1つにすぎず、われわれはほかのプロジェクトも支援する用意がある」(同氏)

 CohesiveFTの共同創業者であるアレクシス・リチャードソン氏は、eWEEKの取材で次のように述べている。

 「Microsoftの参加は、AMQP市場を開放して同市場を大きく成長させ、根本的に簡素化するというAMQPの“ミッション”の妥当性を裏 付けるものだ。必要なのは、安価で簡単に実装できるオープン標準のTCPの特質と、インテリジェントなメッセージングプロトコルの豊富な機能を結合する技 術だ。システムを結び付ける標準的な手法はまだ存在しない。今のところ、ユーザーはIBMなどの高価な独占的技術に縛られるか、独自に連携技術を開発する かを選択しなければならない。Webサービスはあまりにも複雑であり、しかも一般用途向けだ。この混乱から抜け出す手段がAMQPビジネスメッセージング である。つまりAMQPは、TCPと同様、この問題を解決するためのオープンなインターネットプロトコルなのである。そして今、最大のソフトウェアベン ダーが支持を表明したのだ」

 ラムジー氏によると、MicrosoftはオープンソースのSOA(サービス指向アーキテクチャ)インフラソフトウェアプロバイダーのWSO2と 共同で、Microsoftのリファレンスアプリケーション「StockTrader」を使って相互運用性を実証する取り組みを進めてきたという。「本 日、WSO2はこのサンプルアプリケーションのオープンソース版を開発すると発表した。この作業は、“Project Stonehenge”と呼ばれる新しいApacheインキュベーションプロジェクトの下で進められる」(同氏)という。

 「さらに、WSO2ではこのプロジェクトを通じて、W3CとOASISの既存の標準プロトコルを使って、複数の基盤プラットフォーム技術の間でシームレスな相互運用性を実証するサンプルアプリケーションも作成する予定だ」とラムジー氏は話す。

相互運用性に関する取り組み

 ラムジー氏のチームは、ジーン・パオリ氏のチームと緊密に連携して作業を進めているという。パオリ氏は、Microsoftで相互運用性戦略を担当するゼネラルマネジャーで、同氏のチームは相互運用性に向けた今回の取り組みの多くを推進している。

 さらにラムジー氏によると、Microsoftは「Microsoft Network Monitor」用のプロトコルパーサの開発をオープンソースモデルに移行したという。Microsoft Network Monitorは無償のプロトコルアナライザ/ネットワークスニファで、「Netmon」とも呼ばれている。Microsoftはこのプロジェクトを、自 社のコミュニティー開発サイトであるCodePlex上で運営する方針だ。MicrosoftはCodePlex上で、パブリックプロトコルのパーサおよ び自社の「Open Protocol Specifications for Windows」に記載されたプロトコルのパーサの開発をホストする予定だという。「パーサパッケージのアップデートは既にリリースされており、ソースツ リーがCodePlex上で作成された」とラムジー氏は話す。

 「われわれはNetmoを単にWindows専用のツールではなく、最善の機能を組み合わせたネットワークモニタリングツールにしたいと考えている」(同氏)

 ラムジー氏はApacheConのキーノートスピーチで、Microsoftのソフトウェアモデリング技術「Oslo」を同社のOpen Specification Promiseライセンスの下で提供する予定であることも明らかにした。「これにより、“M”のコードネームで呼ばれるOsloの宣言型言語と、WS-* 規格やXMLフォーマット、業界プロトコル、セキュリティ標準などの主要な業界標準との相互運用性が保証される」と同氏は述べた。

 さらにラムジー氏は次のように語った。

 「Osloの主要な狙いは連携と相互運用性である。このため同技術は、System Center、Visual Studio、BizTalk Serverを含む次世代のMicrosoft技術と連携するようになる。われわれはパートナーおよび業界との共同作業を通じて、Osloと重要な標準お よび業界プロトコルとの間の相互運用性を実現するつもりだ。ユーザー企業が自社のプラットフォーム向けにカスタマイズを実現する主要な方法の1つが、テキ スト型およびビジュアル型のDSL(ドメイン固有言語)を利用することだと思う。DSLでは、個別業界や特定分野を対象とした開発者が独自に記述すること ができる。また、これらのシナリオで既存のDSLを利用することもできる。われわれは“M”を中心とした広範でオープンなエコシステムを確立することによ り、ユーザーが自社の異種混在環境において、モデル駆動型アプリケーションとシステムのパワーを活用できるようにしたいと考えている」

 またラムジー氏は、Live Search分野ではMicrosoftのPowersetチームが最近、HBase(Hadoop用データベース)プロジェクトに再び参加したことも明 らかにした。HBaseは、大規模なデータ処理を可能にするインフラ型ストレージ技術に利用したデータベースである。Microsoftは7月、検索と自 然言語を専門とするPowersetの買収を発表した。Powersetは現在、Microsoft Live Searchチームの一部となっている。

 「HBaseプロジェクトは、これを支持するアクティブコミュニティーから多大な助力を得ている。Powersetが同プロジェクトへの参加を継 続することにより、Powersetの技術をLive Searchに連携する作業を促進することができそうだ。これはエンドユーザーエクスペリエンスの改善にもつながる」(ラムジー氏)

引用:ITmedia